MOVE AROUND VOLCANO/HALMAUMAU - Apr. 2008 -
「溶岩に右往左往・ハレマウマウ編」
2008年3月に突然爆発したハレマウマウ。 ハレマウマウからモクモク煙が出ているところを見たいー。 でも実際に行ってみると、ハレマウマウが爆発すると、 いろんなことがあるのだ、と分かったのでした。
ハレマウマウの爆発 2008年3月半ば、ハレマウマウ火口で爆発がありました。 ハレマウマウが最後に爆発したのは、もう40年も前のこと。私も、ハワイ島に行く度に、ハレマウマウを見ていますが、うっすらと火口から蒸気が立ち上っているだけで、もう活動している火口、という面影はありませんでした。100年ほど前には、火口に溶岩が満ちた溶岩湖であったというのが、ウソのようです。
しかし、3月の爆発以来、ボルケーノ・ナショナル・パークでは、ハレマウマウの南側の地域が立ち入り禁止になり、ナショナル・パーク自体の入場が禁止されることもあるそう。なんだか、大変だなあ、と他人事のように思いながら、国立公園へ行ってみました。
公園の南からハイウエイを上ってくると、遠くに噴煙が上がっているのが見えました。おおっ!本当にハレマウマウが煙をあげている!ちょっと、わくわくしながら、ジャガー ・ミュージアムへと向かいました。
ジャガー・ミュージアムの前から臨むハレマウマウが、現在、一番近くで見ることができるハレマウマウ火口なのですが、この周辺も立ち入り禁止になることが、あるようです。 ハレマウマウからは、真っ白な煙が大量に吐き出されていました。ウーム、こんなハレマウマウ、みたことないぞー。
デジタル・スコープを設置してくれているので、覗かせてもらうと、煙が吐き出される火口の割れ目周辺から、灰色の煙がすごい勢いで出てくるのが分かります。 遠目にはどうということもありませんが、デジタル・スコープで覗くと怖いくらいです。青い空に、ハレマウマウの噴煙が、高くたなびいていました。
ボグで大変
さて、滞在中、ボルケーノに行くこと数回。その日は、早朝からマウナロア・トレイル付近で探鳥をしていました。
朝起きた時は、確かに晴れていたのに、マウナロア・トレイルは、なんだか雲ってきました。晴れている時は、海まで見渡せる展望台も、眼下は真っ白で何も見えません。でも、日差しはあるような気がするし、ヘンな天気です。それに、ちょっとイヤなニオイが・・・。
それでも、気にせず鳥を見ていると、ナショナル・パークのレンジャーの車がやってきました。 「ボグがひどいから、今すぐに車に戻って、ここを離れなさい、いいね」 見ると、ドライバー氏はマスク着用です。曇っていると思っていたのは、実はボグだったのです。
ボグとはボルケーノとフォグ(霧)の造語で、火山から流れ出る煙のことを言います。普段、ボグは海へと流れて行きますが、風向きなどによって、周辺に漂ってしまうことがあるのです。イヤなニオイは、ボグ特有のニオイだったのです。
実は「もしかして、ボグかなあ」と、うすうす気がついてはいたのですが「ボグだ、帰れ」と言われるとは思いませんでした。 「どうしよう・・・・」 「とりあえず、ビジター・センターへ行って、様子を聞こう」
ビジター・センターはてんやわんや ビジター・センターに着く頃には、辺りはすっかり霧のような状態でした。 センターの前では、レイメイキングなどのデモンストレーションが行われていたのですが、丁度、撤収作業が始まったところのようです。 イヤなニオイは、かなり強まっています。花火の後に嗅ぐ、火薬のニオイのような感じです。
たくさんの観光客が「どこなら観光できるの」と、レンジャーに質問していました。 どうやら、キラウエア・イキの周辺なら、観光できるようですが、 次々とやってくる人々に、レンジャーも大忙しです。レンジャーは、ボルケーノ国立公園の地図を指し示しながら、人々に説明していますが、観光客はどんどん質問するので、とても大変そう。 「キラウエア・イキから、ハレマウマウは見えるの?」
「そこへは、どっちの方へ行けばいいの?」 「ハイキングはできるの?」
質問する観光客の向こうでは、レンジャーが盛んに注意を促しています。 「ドアをちゃんと閉めて!」 「外の空気を入れないで!」 いつもは、穏やかなレンジャーたちが、今日はちょっと殺気立っているようにも見えます。 「今、カテゴリーは幾つ?4?!」 「5だ!」 「カテゴリー5!!」 カテゴリー5が、どの程度か分かりませんが、それを小耳に挟んだ私は、なんだかドキドキします。
ドキドキついでに、ジャガー・ミュージアムの方に車を走らせてみました。 既にバリケードで、ジャガー・ミュージアムへの道は封鎖されていて、レンジャー氏が周辺を点検をしているようです。近くにあるスチーム・ベントの前には、大型バスが停まっていました。ジャガー ・ミュージアムへは行けなくなったので、お客さんたちは、ハレマウマウ火口が見える所まで、歩かされて見学しているようです、ウーム。
その頃、キラウエア・イキでは・・・
キラウエア・イキへと行ってみると、そこはたくさんの観光バスと、大勢の観光客でいっぱいでした。 ナショナル・パークの中で観光できるのは、ここだけなので仕方ありませんが、それにしてもすごい人です。これでは、バード・ウオッチはムリかも・・。
鳥をみたい私たちは、少しでも人の少ない方へと、クレーター・リム・トレイルをイキの縁に沿って歩きました。 イキは風上になるので、ニオイは少し薄くなっていますが、ボグに包まれていてイキの底の方はボンヤリと見えます。観光客のほとんどは、キラウエア・イキの近くのサーストン・ラバ・チューブへと行ってしまったようで、こちらは比較的人が少ないよう、アパパネも近くにやってきました。 アパパネごしに、イキの底を見ると、霧のようなボグの中でも、ハイキングしている人がいます。自分のことを棚にあげていいますが、みんな、ねばるねえ。
閉鎖
フト気がつくと、辺りはすっかり静かになっていました。 駐車場にもどってみると、満車だったはずの駐車場は、いつの間にかガラガラ。数台の車が残っているだけです。
慌てて入口まで戻ると、園内に入ってこようとする車と、それを止めるレンジャーで、渋滞になりかかっているところでした。ナショナル・パークは、今まさに、ボグにより閉鎖されようとしていました。
ボグの中、しつこくナショナル・パークに居続けたせいか、喉はイガイガして、少し頭痛もします。それにしても、あのままトレイルにいたら、公園内に取り残されてしまったのでしょうか。 カー・ラジオのニュースが「ボルケーノは、ボグでクローズです。ボルケーノ周辺に住む人は、家から出ないように・・」と伝えています。ナショナル・パークは、この日から3日間にわたって閉鎖されたのでした。
晴れた日のハレマウマウ
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