Napau Trail

&

Naulu Trail

A PASSAGE OF THE PUU OO   - Apr.2008 -

 

「プウ・オオへの道・その3」

 

《前回のあらすじと、その後に起きたこと》

前回、雨具と地図を忘れるという、失敗によって道半ばで引き返したNOPU。

しかも、実は前回はなんと終点のナパウ・キャンプまで、

あと1kmほどであったことが、車に置き忘れた地図から判明。

リベンジを誓うも、2007年に起きた爆発で、ナパウ・トレイルは閉鎖!

NOPUは、もうナパウを歩けないのか?!

 

 

主な登場人物

・隊長・・・NOPUオット。前回、地図を車中に忘れ、隊員から責められる。

・隊員・・・NOPU。前回、雨具を宿に干しっぱなしにして忘れ、隊長から非難される。

・エイミー・・・ボルケーノ国立公園のレンジャー。おそらくは新人。国立公園がボグで閉鎖された時は、三角コーンで道を封鎖、という新人らしい仕事をしているところを見かけた。

 

再びパーミットを申請

ナパウ・トレイルは、2008年には閉鎖が解けていました。

その替わり、ボルケーノではハレマウマウ・クレーターが爆発したため、ハレマウマウの南側の道路が閉鎖されていました。ハワイ島は今も大地が生まれている新しい島、ということは分かっているのですが、日々変るボルケーノには改めて驚かされます。

 

というわけで、再びパーミットを申請にビジターセンターを訪れました。

申請も2回目なので、様子も分かっています。まずは、レンジャーさんを探すことからですが、幸い入口近くのインフォメーション・ブースにレンジャーらしき女性がいました。

晴天のケアラコモ・ピクニックエリア

「ナパウ・トレイルを歩きたいので、パーミットが欲しいのですが」

「パーミットね、えっと、どれだったかしら」

どうも新人らしいエイミーさんは、パーミットを探し出すと、丁寧に説明してくれました。

 

エイミーさんが、パーミット用紙などを探している間に、申請者のリストを覗き見すると、一日おきに一組くらいしかいません。

実際には、もう少し歩いている人はいるようなので、申請をしないハイカーもいるのかも。

でも、ボルケーノでは何があるか分かりません。たいした手間ではないし、トレイルの情報も聞けるので、パーミットの申請は必ずした方がいいと思います。

 

 

NAULU TRAIL

ナウル・トレイル入口

さて、今回はチェーン・オブ・クレーターズ・ロードを少し下った所にある、ケアラコモ・ピクニックエリアから出発します。

チェーン・オブ・クレーターズ・ロードからの絶景を見下ろせるこの場所では、記念撮影をしている人を見かけますが、ここからハイキングに出かける人はあまりいないよう。

前回、車に地図を忘れたこともあって、地図を持ったか、念入りに持ち物を点検して出発です。

 

トレイルの入口は、ゴツゴツした溶岩の山。いきなりの難所です。ずーっとこんな道だとイヤだなあ。

今回もケルンが道標

この道は、「ナパウ」ではなく「ナウル」・トレイルという名前。地図を見ると、前回歩いたナパウ・トレイルよりも1.2マイルほど、こちらのトレイルの方が短いようです。

その分、高低差があり往路はマカウプヒ・クレーターのT字路までずっと登りになります。始めの1マイルほどは、パホエホエ溶岩の上をずっと歩きますが、ナパウより更に道が分かりにくく、足場も不安定。

うーむ、ナパウとナウル、どっちが楽とは言えないですね。

 

この辺りの溶岩は、1970年代の始めに流れたもので、まだ40年経っていません。

でも、背丈ほどに育ったオヒアがレフアの花を咲かせていました。ボルケーノは、どんどん大地を焼きながらも、思ったより早いスピードで再生しているようです。

 

旧・チェーン・オブ・クレーターズ・ロード

溶岩から覗く舗装道路

さて、溶岩が流れてくる前は、この辺りにチェーン・オブ・クレーターズ・ロードが、通っていたそうです。溶岩に埋ってしまい、チェーン・オブ・クレーターズ・ロードは、何度も敷きなおされたよう。

「隊長!、フツウの道があります」

トレイルの途中、溶岩の下に舗装路が顔を出しているところをみつけました。

「うーむ、ちょっと生々しい感じがするなあ」

溶岩の下に、少しだけのぞく舗装路は、なんだか災害の現場を見るような気持ちにさせます。

 

ナウル・トレイルは、カラパナ・トレイル(現在は途中で閉鎖)に分岐するのですが、この分岐の辺りに、少し長めの「旧・チェーン・オブ・クレーターズ・ロード」が残っていました。舗装路の上をしばし歩きます。

「すごーく、歩きやすい」

「舗装路っていいもんだねえ」

溶岩の上を歩いてきた後では、舗装路はとても歩きやすい。でも、すぐに舗装路は尽きて、再び溶岩の上を歩くことになりました、ちょっとがっかり。

 

ひだひだのパホエホエ溶岩 旧・チェーン・オブ・クレーターズ・ロード 燃え残ったキプカへと進む

 

暫くすると、トレイルは森の中へと変ります。森に入ってからは、上りの山道。それほど険しくはないのですが、ずっと上っているので、息切れがしてきます。

キプカ (溶岩が流れた時、燃え残った森のこと)の一つであるこの森は、多くの羊歯と鬱蒼とした木々で覆われています。炎天下であった溶岩の上を歩く道に比べると、涼しくて気持ちがいい。

やがて、去年もやってきたナパウ・トレイルと交じるT字路までやってきました。

 

再びNAPAU TRAIL

前回はこの途中で引き返した

ナパウ・トレイルは、前回も途中まで歩きました。

マカオプヒ・クレーターからトレイルが離れると、勾配や崖が現れて少し歩きにくくなります。

前回、引き返したアア溶岩が広がる場所までやってきました。アア溶岩の上にトレイルが作られていますが、トレイルは細く、足元の石もよく動くので、どうしても下ばかり見て進むことになります。幸い、アア溶岩の上は5分も歩かずに、再び森の中へと入りました。

 

OLD PULU FACTORY

オールド・プル・ファクトリー

森の中を入ってすぐに、プル工場跡があります。

プルとは、ハプウという種類の羊歯が、まだ若芽の頃、表面に生える茶色の毛のようなもののことです。ハワイアンは昔から、プルを怪我の時に使うガーゼのようにしたり、遺体の防腐処理にも使っていたようです。

今は石垣が残るだけ

若芽を覆う茶色い毛がプル

さて、プルのホワホワな感じがよかったのか、西洋人たちはプルを枕やマットレスの詰め物として使うことを思いつきました。そのために作られたのが、このプル工場というわけです。

 

19世紀の半ば頃、ここで収集されたプルが、乾かされてアメリカ大陸へと輸送されたのだそう。ところが、プルは時間がたつと塵になってしまうことが分かりました。

「もしかしてハワイアンの人たちは、プルが塵になっちゃうのを知っていたのでは?」

「商品化する前に、先人に聞くとかしなかったのかなあ」

プルの需要もなくなって工場は廃墟となったわけです。

 

プル工場跡は、1mほどの高さに石塀が積んであるだけで、既に森に埋もれつつあります。たくさん集めたはずのプルも、おそらく塵になってしまって、跡形もありません。

 

NAPAU OVER LOOK

やっとプウ・オオの姿が見えた

少し開けた場所に出て、やっとプウ・オオが見えました。今回のトレッキングで、初めて見るプウ・オオです。

数分でナパウ・キャンプグラウンドと、ナパウ展望台との分かれ道に着きました。まずは、ナパウ展望台へ。

 

5,6分林の中を歩くと、突然、目の前が開けてナパウ・クレーターの縁に出ました。

「おおっ!」

キャンプ場と展望台の分岐点

眼下にナパウ・クレーターが広がり、その向こうにプウ・オオの姿が見えます。長いトレッキングを頑張ったご褒美のように、素晴らしい景色が待っているトレイルが、ハワイにはいくつもありますが、ここはまさにその一つ。

「すごいねー」

「今回は、諦めなくてよかったねー」

ベンチのように横たわっている丸太に腰をかけて、暫しプウ・オオの姿を楽しみました。

 

NAPAU  CAMPGROUND

去りがたいナパウ展望台を後に、ナパウ・キャンプ場へと向かいます。

分かれ道から数分歩いたところに、トイレがあるのは分かったのですが、イメージしたようなキャンプ場はありません。森の外れに出てしまいました。

この先も、ナパウ・トレイルは続きますが、通行は禁止されています。この森の外れが、ナパウ・トレイルの終点ということです。

 

森の向こうにプウ・オオ

「で、キャンプ場はどこなんでしょう」

「もしかして、この2畳くらいの場所に、テントを張ってね、ということかな」

トイレの近くに、ごく小さな空き地がありますが、テントを張る場所にも困るような場所です。火を使うことは禁止されているので、キャンプをした人の跡を見つけることもできませんでした。

 

トイレに行った隊長が、しきりに感心しています。

「すごいなあ」

「何がですか、隊長」

「だって、トイレにちゃんとトイレット・ペーパーがあるよ、誰かが補充してくれるんだよね」

トイレは簡易トイレですが、掃除もされています。『使った後は、鍵を必ずかけてね』との注意書きがありました。

 

帰りはいつも辛い

往路も3時間、復路も3時間かかりました。往路では写真を撮りながらのゆっくりペース、帰路は食事休憩が30分ほど入っています。疲れのためか、道は下りであるにも関わらず復路の方が辛かったです。

「ゲホゲホ、霧がでてきましたね」

「隊員、これは霧じゃないぞ、ゴホゴホ」

この日の午後は、風向きが変ってナウル・トレイルにハレマウマウからの噴煙が少し流れてきました。煙で喉がイガイガしはじめ、急ごうとすると、パホエホエに足を取られて足首をひねったりもします。

やっと駐車場に着いた時には、「もうナパウを歩くことは、決してあるまい」とホントに思うのでした。

 

ナパウ・クレーターの向こうに見えるプウ・オオ

でも、またこの場所に行きたいな

 

※ブログ「はれのぷ」にも、プウ・オオの写真を載せています→こちら

 

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