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たくさんの悲恋の伝説を持つナウパカ。 主に海岸付近にあるビーチ・ナウパカと、山に咲くマウンテン・ナウパカがあることも、よく知られています。ハワイでナウパカを探すと、ビーチ・ナウパカは、おそらくすぐに見つけることができますが、マウンテン・ナウパカは、やや見つけ難いでしょう。花の形はそっくりですが、葉の形がかなり異なるこの2種は、同じクサトベラ科。オヒア・レフアも同じですが、ナウパカのように、悲恋の伝説を持つものは、キルトにしてプレゼントする時は、少し考えてからの方がいいかもしれないですね。
Hawaiian Name:Naupaka Kai,Naupaka Kahakai,Huahekili/English Name:Beach Naupaka
ハワイの海岸線で、ビーチ・ナウパカは容易にみつけることが出来ます。ハワイ語名に付いている、Kaiは「海」、Kahakaiは「海岸」の意味です。 3フィート(約1m)から10フィート(約3m)の高さまで育ち、6から15フィート(約2mから4.5m)にまで広がります。ビーチを歩いていると、ナウパカが広がっている風景を目にすることも多いです。 ビーチ・ナウパカは、太平洋の熱帯地域やインド洋の海岸線に生育する植物です。ビーチ・ナウパカは、ブルーベリーを白くしたような実をつけます。ナウパカのハワイ語名の一つ、Huahekiliとは、「霰」または「雹」の意味です。この白い実の中にある種は、海水に長い間漬かっていても、発芽することができ、乾いた砂地にも根を張ることができます。古代ハワイにおいて、ナウパカはそれほど重要ではなく、幹の部分をカヌーの釘に使ったりしていたようです。
<写真の撮影場所>カウアイ島:リドゲイト・ビーチパーク、ドンキー・ビーチ/モロカイ島:ハラワ・バレー Hawaiian Name:Naupaka Kuahiwi/English Name:Mountain Naupaka
ビーチ・ナウパカの亜種であるマウンテン・ナウパカは、ハワイの固有種です。5〜20フィート(約1.5〜6m)の低木で、山間部に生育しています。マウンテン・ナウパカは数種類が発見されており、ビーチ・ナウパカと比べて葉が小さく、薄く、尖っているのが特徴。 ハワイ語名に付くKuahiwiは、「山の頂」の意味。実際は山の高所から低いところまで、種類によって分布しているようです。マウンテン・ナウパカを見つけるには、やはりトレッキングが一番かも。私はカウアイ島のコケエ周辺でよく見つけます。
<写真の撮影場所>カウアイ島:アワアワプヒ・トレイル Hawaiian Name:Noni/English Name:Indian Mullberry/和名:ヤエヤマアオキ
歩いていて、ノニの実を踏んでしまったことはありませんか? ハワイでは野生のノニがかなり生育しているので、落ちた実を踏んでしまうことがあるのです。その強烈な匂いで「ああ、ノニを踏んでしまった!」と、すぐに分かります。 近年、ノニの薬効が注目され、日本でもノニジュースが売られるようになりました。ノニジュースを飲んだことのある人なら、その味は忘れられないでしょう。ノニを踏んだことのある人は、スニーカーに染み付いた匂いが忘れられません。 ノニはアジア、オーストラリア、そして太平洋の島々で生育しています。ハワイには、初期に移住してきたポリネシア人たちが持ってきたものと考えられます。しかし、ノニは水に浮き、海水に1年以上浸かっても、発芽することができるので、なかには自然に流れ着いて、発芽したものもあるのかもしれないですね。 海辺から標高約400mの間で育ち、しばしば溶岩の流れた跡に沿って生えています。 ノニの実は糖尿病・心臓疾患・高血圧に効くと言われています。その他にも、ハワイでは、かなりひどい骨折の治療や、傷・ふきでものなどの治療にも使われていました。ケジラミを取るシャンプーとして使われたりもしました。その他にも、結核・リュウマチ・関節炎・食欲増進などなど、ノニの効用があるといわれる疾患は、たいへん多いようです。飢饉の時の非常食として使われていたことからも、ノニが栄養価に優れた植物であることがわかります。 染色にも使われ、樹皮から赤い染料を、根から黄色い染料を取りました。赤と黄はハワイ王室のロイヤルカラーですね。トンガの伝説には、半神マウイが死んだ時、彼の遺体にノニの葉をかけたら、生き返ったという話があります。
<写真の撮影場所>ハワイ島:エイミー・グリーンウェル民族植物園/カウアイ島:マクブライド・ガーデン Hawaiian Name:'Ohi'a Lehua/和名:ハワイフトモモ
オヒア・レフア、と言ってしまいますが、オヒアは木の部分、レフアは花の部分の名前です。 ビッグ・アイランド(ハワイ島)のレイの花で、ペレに纏わる伝説をたくさん持っています。
オヒア・レフアはハワイの固有種ですが、太平洋を囲む熱帯地域に広く分布しています。ニューギニアやポリネシア島々、そしてニュージーランドにも生育しています。ハワイには、種子が風に乗ってやってきて、根付いたものと思われます。海抜0mの地域から標高2400m以上の高所でも育ち、高さ30m以上の巨木になることもあります。 生命力の強い植物で、溶岩が焼き尽くした不毛の地に、初めに根付くのがオヒアだと言われています。ハワイ島をドライブしていると、溶岩で覆われた黒い大地に、突如オヒアの群落が現れます。古代、ハワイアンにとってオヒアの密林は、戦争と創造の神、Kuと、創造主Kaneを示す、森羅万象の全知力の象徴でした。 深紅の花が、よく知られていますが、黄色、ピンク、オレンジ色、薄黄緑、白などの花を持つ種類もあります。 木は木材として家の建築や、家具、カヌーを作るために使われます。赤みを帯びた若い葉は、煮出して強壮効果のある茶として飲まれます。花は出産の手助けに、使われたそうです。 ハワイの固有種の鳥、アパパネやイ イヴィなどはレフアの蜜を吸いにやってきます。 ハワイ島のボルケーノ国立公園では、早朝にたくさんのアパパネなどのミツスイを観察することができました。
レフアを摘むと、雨が降るという伝説がありますが、これはコケエ・ミュージアムのガイドハイクに参加した時、ガイドさんから聞いた話です。 「ハワイ大学の野外調査に参加した時の話です。その野外調査はハワイの森を何日もかけて調査するもので、始めの1週間は酷い雨降りでみんなくさくさしていました。やっと雨が上がり、ほっとしたその日、野外調査の指揮をしていた教授は、ある女学生が、耳にレフアの花をさしていることに気が付きました。『なにをしているんだ!レフアの伝説を知らないのか!!』と、教授は怒鳴ったのですが、その女学生は『知ってるけど、ただの迷信でしょ』と、言います。教授は『君がレフアの伝説を信じなくても、私は信じているんだ!さっさと帰れ!!』と、カンカンに怒ったそうです。」
<写真の撮影場所>ハワイ島:ボルケーノ国立公園、エイミー・グリーンウェル民族植物園 PAINTED GUM TREE English Name:Mindanao gum(Eucalyptus deglupta)/和名:ユーカリ(カメレレ)
ハワイには多種類のユーカリの木があります。 よく知られているのが、カウアイのツリートンネルを作るSwamp mahogany(Eucalyptus robusta)などですが、これらの木は植林された外来種で、ほとんどがオーストラリアが原産国です。
ペインテッド・ガム・ツリーはフィリピン原産で、他のユーカリの木とは少し違うようです。 ハワイでは、1930年代にオアフ島の森林公園に、初めて植樹されました。現在では30m程の高さにまで育っているそうです。 この木の最大の特徴は、ペンキで落書きされたような樹皮でしょう。ハワイでは植物園や一部の森林公園で見ることができます。
<写真の撮影場所>カウアイ島:ケアフア森林公園、NTBGビジターセンター近く/ハワイ島:ワールド・ボタニカル・ガーデン Hawaiian Name:He'i/English Name:Papaya/和名:パパイヤ
最近、デパートの青果売り場で「パパイヤ(ハワイ産)1ケ1000円」というものをみました。「ファーマーズマーケットで買えば3個で$1なのに!」と、改めてハワイと日本の距離 が感じられます。 パパイヤは中南米が原産。 19世紀初頭にスペイン語圏の人々がハワイに持ち込んだもの、という文献と、アジア経由でハワイに入ってきた、という文献があります。 パパイヤの原生種は、雄株・雌株・雌雄同体株の3つの株に分かれます。パパイヤの実は、繊維質でビタミンCとAが豊富。葉は石鹸に、種子は薬用にも使われるものもあるそうです。 40以上も種類があるというパパイヤですが、ハワイではソロ種やサンライズ種がよく売られています。メキシコ産のパパイヤとは種類が異なり、メキシコ産よりもハワイ産のものは、実は小さいが甘いそうです。 ハワイでは、農産物として育てられているパパイヤの他、公園や道端で自生しているらしいパパイヤをよくみかけます。これらのパパイヤの木から熟した実がころころと、地面に転がり落ちているところもよくみかけます。これは、拾ってよいものなのか・・と、ちょっと悩んだりして・・。
<写真の撮影場所>カウアイ島:カパアの住宅地、ハナレイビーチ近く/ハワイ島:カ・マラ・ホオラ /モロカイ島:カウナカカイ近くの民家 Hawaiian Name:Pua melia/English Name:Frangipani/和名:インドソケイ
ハワイアンキルトを始めた頃、モチーフに使われる花々がハワイ固有種か、外来種か、どのような意味があるのか、などをよく知らずに作っていました。だから、プルメリアがハワイでは「死者の花」と言われていることを知って、びっくりしました。 プルメリアは、お墓に供える花なのだそうです。以来、なんとなくプルメリアのモチーフは使い辛いです。匂いも形も好きな花なのですが、お祝いにあげるキルトのモチーフなどには、避けた方がいいような気がしています。 花もちの良さや、その香りなどから、ハワイではレイとして頻繁にプルメリアを使うようになりました。しかし、ハワイのお年寄りの方の中には、絶対にプルメリアのレイをしない、と言われる方もいらっしゃるそうですから、注意しないといけないですね。 プルメリアは19世紀半ばに、ハワイに紹介されました。 プルメリアはハワイでは、低地から海抜1000m程の間で、容易に育てることができます。原産地は中南米ですが、インドネシア、ポリネシア、カリブ海沿岸などの熱帯の広い地域に分布しています。Pagoda tree、Temple flowerなどと呼ばれるように、インドやスリランカでは神聖な花とされ、寺院などに植えられています。ハワイで死者の花とされているのも、このような事が起源かもしれませんね。 花を折ると白い樹液が出てきますが、これは有毒なので気を付けてください。
<写真の撮影場所>カウアイ島:ククイオロノ・パーク/モロカイ島:カウナカカイ近くの民家
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