PART1(A〜C) PART2(G〜 H) PART3(I〜J) PART 4(K〜L) PART5(N〜P) Hawaiian Name:Waiawi'ula'ula/English Name:Strawberry Guava
熟したストロベリーグアバは、甘酸っぱいイチゴに似た味がします(似ていない、というご意見もありますが、私は似ていると思う)。左の写真はまだ未熟の実ですが、赤く色付き(写真右) 、更に黒っぽくなるまで熟したもののほうが、おいしいそうです。 熱帯アメリカ原産で、木の高さは6mほどになり、白い可憐な花を咲かせます。また、黄色い実を付けるものもありますが、繁殖力は赤い実のものに比べて劣るようです。 じつは、ストロベリーグアバは、かなりやっかいな外来種のひとつです。カヒリ・ジンジャーとともに「世界の外来侵入種ワースト100」に選らばれるほどのこの植物は、ハワイでは「最悪の外来種」とまで言われています。 繁殖力が強く、生育している土壌の状態まで変えてしまうグアバ種は、ハワイ固有種にとって大変な脅威となっています。 外来種の鳥や野生のブタ、そして人間によって種子は運ばれ、 どんどん森の中に広がっていきます。「おいしい」というのは、植物が考え出した種の繁栄戦略のひとつですものね。
<写真の撮影場所>モロカイ島:カラウパパ展望台付近 Hawaiian Name:Taro,Kalo/和名:タロイモ
主食であったポイの原料となるタロは、ハワイアンにとって、最も重要な植物のひとつでしょう。 タロはインド原産と言われていますが、2千年前にエジプトへ渡った他、中国や日本も含む東アジア及び東南アジア地域、ポリネシアを含む太平洋地域などに広く分布しています。 ハワイへは、始めに移住してきたポリネシア人が、持ち込んだものと思われます。 さて、ポリネシア人は長い航海の果てに、ハワイへ辿り着いたのですが、大航海時代の船乗りが悩まされた壊血病に、彼らが無縁だったのは、タロを食べていたからだとも言われています。タロにはビタミンCとAが豊富に含まれており、栄養価が高い食品で、発酵したタロのポイは常温でもかなり日持ちがします。
タロの代表的な食べ方「ポイ」は、蒸し焼きにしたものを、叩き潰す料理法で、タロ以外にもパンの実やサツマイモなどのポイがあります。好みによって、発酵させ酸味を帯びたものを食します。ポイを作るのは力仕事なので、普通は男性が作るものだそうです。 ポイは水で延ばして指ですくって食べるため、ポイの濃度によって「1本指のポイ(濃いので指1本ですくえる)」「2本指のポイ(やや薄くなって指が2本必要)」などと言います。「3本指のポイ」を作るのは、ケチ、だそうです。 タロは様々な名前を持っています。ドライもしくは焼いたものは'ao、地下茎を'oha、種付けのためにカットしたものをhuliと呼び、葉をlu'auと呼びますが、ハワイのパーティ「ルアウ」の語源はタロの葉(ルアウ)であると言われています。 タロは、空の神Wakeaと地の女神Papaの間で死産した、第一子から芽が出たもの、と言う伝説があります。彼らの他の子供、Haloaは人間の祖先になりました。ハロアは兄弟であるタロを尊敬をもって世話をするよう、両親に言われました。そして、タロは充分な栄養を、兄弟に与えたのです。 タロは創造者Kaneの化身とも言われ、繁栄・長寿・生命の源・願いの成就などを象徴します。 タロは乾性型と湿性型があり、ハナレイやワイピオで栽培されているのは湿性型のタロです。ハワイ島では、ワイピオで栽培されるタロが一番おいしい、と言われています。近年、ハワイの文化復興がネイティブ・ハワイアンの間でブームになっていますが、タロを栽培する農民となって、ハワイアンのアイデンティティを求める若者も増えているそうです。
<写真の撮影場所>カウアイ島:プリンスヴィル内/マクブライド・ガーデン/ハワイ島:ハワイ・トロピカル・ボタニカルガーデン TI Hawaiian Name:Ti,Ki,La'i/和名:センネンボク
ハワイで時折、バックミラーにティーリーフのレイを掛けている車を見かけます。ティーリーフは魔よけの意味があるので、お守りとして掛けるのです。 ポリネシア人が始めにハワイ諸島に運んできた植物のひとつである、ティは熱帯アジアが原産で、アジア・オーストラリア北部・ポリネシア諸島に広く分布しています。サモアでもTi(ティ)と呼ばれていますが、ハワイには”T”の発音は無いのでKi(キ)と呼ぶこともあります。La'iとは、lau ki、「Kiの葉」の略語で、つまりティーリーフのことです。緑の葉以外にも、赤やクリーム色、斑入りの葉など多くの品種があります。 ティは平和と繁栄、風と雨の神、Lonoと、フラの神、Laka(Lakakane)に捧げる神聖な植物です。今日でも、日本での榊の様に、神事でティーリーフを使っています。泳いだり、船を出したりする時に、ティーリーフを水に投げ入れて、葉が浮かんでいればその水に入っても大丈夫、沈んだ時は入ってはいけない、という言い伝え もあります。
フラとも重要な関係があり、ティーリーフはレイになるだけではなく、フラダンサーのスカートにも使われています。 魔よけの用法のひとつとして、ハワイアンは家の周りにティを植えていますが、それ以外にも普段の生活に、ティは欠かせないものです。 料理をするときには、ティーリーフで包んで蒸し焼き(ラウラウやカルアピッグですね)にし、食べ物を保存する時はティーリーフで包み、食卓にもティーリーフを敷いてテーブルクロス兼、お皿として使いました。 屋根を葺いたり、サンダルにしたり、うちわや子供の「芝生すべり」のソリにもなります。
薬用としても頻繁に用いられています。 葉は熱を取る効用があるといわれているので、熱が出た病人をティーリーフで包んだりします。最近では、日焼け後の肌のクールダウンに用いる、スキンケア用品にも使われているようです。頭痛の時には頭に冷えたティーリーフを巻き、痛みのある患部には熱した石をティーリーフで包んであてました。また、ティーリーフを煮出したものを飲むと、リラクゼーション効果があると言われます。ティは細かい無数の花が並んで咲きますが、この花も喘息に効くそうです。 ティの根は甘く、菓子や酒の原料にしたり、根の汁を使ってカヌーを磨いたりしますが、飢饉の時には重要な食料になりました。 私は、ハワイでいただいたり、買ったりしたティリーフのレイを、乾燥させて自宅の玄関や車に飾っています。
<写真の撮影場所>ハワイ島:エイミー・グリーンウェル民族植物園、ハワイ・トロピカル・ボタニカルガーデン Hawaiian Name:'Ulu/English Name:Breadfruit/和名:パンノキ
ハワイアンキルトを初めて作るときモチーフに選ぶと良い、といわれるパンの木は「そのキルトが家にあれば食に困らない」とも言われるように「豊饒」や「繁栄」また、「創造」の象徴でもあるようです。
パンの木は戦争の神Kuの身体から生えたという伝説もありますが、ハワイアンがポリネシアからハワイ諸島に運んできた植物と考えられます。その起源はマレーシアであるとも言われ、ポリネシアの諸国で広く食用として用いられています。 実は炭水化物とビタミン(特にB群)が豊富で、焼いて食べているのを見たことがあります(残念ながら食べたことはないのですが)が、発酵させて(ポイにして)食べたりもするようです。 また、その実だけではなく、樹木はカヌーや楽器、ポイボードなどに使われ、ネバネバした樹液は薬用や接着用として利用、雄花は乾燥させて燃やすと虫除けになる・・と全てが有用に使われます。カメハメハ大王のマントに使う鳥のはねを取るために、この樹液を「鳥もち」として用いたようです。 ハワイの島々をドライブしていると、庭木として植えられているものや、道の脇に自生しているものを見かけます。 キルトをしていて、一度本物のパンの木をみたい、と思っていらっしゃる方は、車窓からでも探してみてください。また、日本国内でも熱帯植物園などで見ることができます。
<写真の撮影場所>ハワイ島:マウナロア・マカデミアナッツ・ビジターセンター、ノースコハラの道端、ケア ウホウ・ショッピングセンター /モロカイ島:カウナカカイ近くの民家
|