WALK ON THE CANYON EDGE -May 2005−
トレッキングもだんだん慣れてきました。 初めて歩いたカララウ・トレイルのように、水をあまり持っていかなかったとか、 スニーカーをドロドロにしてしまい、がっかり・・などということも、あまりありません。 でも、思わぬところに油断が潜んでいるもの・・・。 トレッキングの時は、何が必要か、その後のいい経験になったトレイルです。
「崖っぷちを行く」
HALE MANU ROAD
ワイメア・キャニオン・ロードをドライブしていると、道路沿いのあまり広くないスペースに、何台もの車が停まっていることがあります。その近くにトレイルの入口 があるのです。クリフ・トレイルへの入口が、まさにそんな感じ。ワイメア・キャニオン・ロードを登っていると、マイルマーカー14付近の左手に、何台もの車が停まっています。トレイルの入口は、道路を挟んで反対側です。
ワイメア・キャニオン・ロードから分岐した未舗装のハレ・マヌ・ロードは、4WD車でないと走行が難しいよう(4WDでも保険の対象外でしょう)。多くのハイカーは、入口の駐車スペースから歩くようです。普通車で来た私たちも 当然、ここから歩くことに。
さてハレ・マヌ・ロードは、なだらかに下っています。かなり大きなナスタチウムや、モーニング・グローリー、リリコイなどの花が道沿いで咲いています。歩きやすいし、ハイカーの姿もよく見かけるので、良さそうなトレイルかもしれないなあ。 でも、この坂道は帰りは辛くなるのかも・・。
それに、なかなかトレイルの入口にたどりつきません。いいかげん、未舗装の単調な道に飽きてきた頃、やっとトレイルへの分岐点に着きました。近くに、ジープも停まっています。うーん、やっぱり4WDはいいなあ。前回まで、2回続けてジープ・ラングラーをレンタルしていたのですが、今回もジープにすればよかったかなあ。
ここまで30分弱ほど歩きました。ここから道を右に折れて林の中を歩きます。木陰に入ったので、ちょっと一息つけます。まだ未舗装路の続きなので、道幅も広く歩きやすい道です。更に数分歩いてキャニオン・トレイルの入口に到着。ここにも数台車が停まっています。ようやくトレッキングの道らしくなってきました。
CLIFF VIEW POINT
森のなかを少し進むと、クリフ・トレイルとキャニオン・トレイルの分岐点に着きます。この辺りは、地図上の表記と、道上の標識の名前が、微妙に違うので戸惑いやすい。帰路に、この辺りで道を訊ねられたのでので、分かりにくいなあと思ったのは私だけではないようです。
細い山道を歩くこと数分、突然視界が開けて、展望台に付きました。 ワイメア渓谷の最も北端を見下ろすように、展望台は作られています。展望台は柵もあるので、あまり怖い感じはしませんが、かなり急な崖の上です。
遠くには海が、そして右の尾根沿いには、ワイメア・キャニオン展望台も見えます。ワイメア渓谷を眺める人々が見えるような気もします。 ちょっとワイメアを歩きたい人には、クリフ・ビュー・ポイントまでの往復のハイキングは、なかなかオススメかもしれません。
ところで、私たちは、もう少し先まで進みます。 「どの辺りを歩くのかな」 「さあ、ここからは、まだ見えないんじゃないの」 実は、ちょっとだけ見えていたのです。
CANYON TRAIL 「メ〜、メ〜」 どこからか、鳴き声がします。 「あ、ヤギだ!」 この辺りは、ヤギが多く、ハンティングも盛んに行われているのですが、姿を見るのは初めてです。 「まだ子ヤギだねえ」 親ヤギからはぐれたのでしょうか、ちょっと不安そうな子ヤギは、険しい崖を下っていきました。やっぱりヤギは子供でもすごいなあ、どこでも歩けそう。おかげで、カウアイの植物は、だいぶ食害にあっているらしいけれど。
キャニオン・トレイルとの分岐点まで、道を戻る途中、トレイルから外れた森のなかから出てくる人を見かけました。なにか草のようなものを採っているよう。 「あ、マイレだ」 よく見ると、トレイル沿いにも、マイレが。植物園などで見かけるのと違い、トレッキングで植物を発見するのは、なかなか嬉しいものです。
キャニオン・トレイルは、山肌に沿った細い道が続くトレイルです。道のアップ・ダウンも少なく、見晴らしもいいので、歩くのも楽しい。 「ねえ、あの崖の方へ行くの?人が歩いているみたいだよ」 「まさか、あれは違うトレイルだよ」
高所恐怖症の夫は、先に見える崖に不安そうです。 10分ほど歩いたところで、再び道は分岐点に出ました。右へ曲がる道は、大きな岩がごろごろしている下り坂です。登ってきた人々は、みな息をはずませています。ちょっと下りて、間違いというのはイヤだなあ。 「滝に行くのかい?」 休憩中のファミリーが声をかけてくれました。 「滝はこの道を降りて、崖沿いに歩いていくんだよ」 やっぱりそうでした。あの崖の上を歩いていくようです。夫は、しばし絶句。でも、仕方ありません、ファミリーにお礼を言って、岩がゴロゴロの道を下ります。
侵食された崖の上で やがて細い上り道になり、小さな丘を登りきったところは、 素晴らしい見晴らし台になっていました。崖沿いの丘が、侵食されて広く赤土がむき出しているようです。ここが、遠くから見えた崖沿いの道です。ハレ・マヌ・ロードの入口付近で見かけた、
団体のハイカーが、崖の先の方で談笑しているのが見えます。 「おまえ、あっちの方には絶対行くな、危ないぞ」 でも、あっちの方がトレイルの続きみたいなんだけど。
幸い、この日は風もなく、小山を左にカーブするように、ワイポオ滝へとトレイルを下っていきました。坂道は木でステップも作られています
が、赤土は滑りやすく、かなりスリリングな道です。雨が降ったら、かなり怖いかも。道はすぐに潅木のなかへと続き、ジグザグに曲りながら下りていくと、小さな滝がありました。ここがワイポオ滝の上流にある池です。
ハイキングに持ってくるべきもの それは、そうと時刻は12時を過ぎ、朝が早かった私たちは、とてもお腹が空いてきました。
「なにか食べ物は持っていないの」 水だけはたくさん持ってきたのですが、食べ物はありません。 「おなかすいたー、ペコペコだー」 先を歩いていた団体のみなさんは、ランチタイムになったらしく、リンゴなどを召し上がってらっしゃいます。何も持ってきていない、と分かっているのですが、あまりの空腹にリュックを探してみます。 「あ、キャラメルがあった!」 「あー、よかった、キャラメルだよ〜」 日本から入れっぱなしになっていた一箱のキャラメルに、手を取り合って喜ぶ二人でした。本当は、この先もトレイルは続くのですが、空腹の二人は、一番近いレストラン(コケエ・ロッジ)へと急ぐべく、キャニオン・トレイルを大急ぎで 戻ったのでした。 ハイキングには、食料も必ず持っていかなくては行けませんね。
クリフ・トレイルの崖っぷちでも談笑する人々
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