KIPUKA HOPPING PART2 −Apr.2007−
「キプカを渡る その2」
ハワイ固有種のミツスイがいて、ハワイ固有の植物もいっぱい。 涼しいし、蚊もいない、山登りもしない。 前回、このトレイルを歩いてから、すっかりファンになってしまいました。 果たして、プウ・オオ・トレイルは、そんなにやさしいトレイルだったのでしょうか。
計画
4WD用の道が、プウ・オオ・トレイルとほぼ平行に走っています。この道は、送電線のメンテナンス用の道、パワーライン・ロードだったようですが、現在は、その送電線はなくなり、電柱も撤去されています。
プウ・オオ・トレイルは、 この「もとパワーライン・ロード」と途中で交わっているので、トレッキング・ガイドなどでは、この2つの道とサドル・ロードを使えば、周回路になると説明しています。私たちも、周回路としてプウ・オオ・トレイルを歩くプランをたてました。 このプランでは、まず南に向かってプウ・オオ・トレイルを6kmほど歩き、折り返すように北へ向かって、もとパワーライン・ロードを5km、そしてサドル・ロードを西へ1kmちょっと歩くことになります。 三角形を作るような周回路で、だいたい12kmくらいの道のりになります。
ほぼ同じくらいの距離では、カウアイのアラカイ・スワンプや、アワアワプヒ・トレイルを歩いたことがありますが、高低差を考えると、きっともっと楽に歩くことができるはず、というのが、計画段階の予想です。 4時間くらいで歩けるかな。
プウ・オオ・トレイル再び 丁度、一年ぶりのプウ・オオ・トレイルは、前回よりも、ややお天気もいいよう、爽やかな風が吹いています。まだ8時過ぎですが、今回は既に車が2台も停まっていました。プウ・オオ・トレイルの駐車場は狭いので、3台停まるとややキツイ感じ。ヒメツルソバの群生を見ながら、トレイルへと向かいます。
キプカの木々の上では、アパパネが飛び回っています。時折、特徴のある、アパパネよりも強い鳴き声がするのは、イイヴィ。 プウ・オオ・トレイルの大きな特徴は、キプカの中と外で、大きな変化があることです。キプカの中は、鬱蒼とした古代の森。大きなコアやオヒアが日差しを遮り、中に入ると空気が急に冷たく感じられます。シダは大きく茂り、倒木には厚い苔。周囲が溶岩であることを忘れてしまいます。
キプカというより、溶岩の流れた後、再生しつつある森もあり、こちらはまだ林という感じ。地面は、草が生えていますが、パホエホエ溶岩であることが分かります。3mくらいのオヒアが多いのも特徴。ここはキプカより日差しが強く、やや蒸し暑い 。
キプカを取り巻く溶岩も、パホエホエの場所やアアの場所があります。前回は、入口から1.5マイルほどの、アア溶岩が一面に広がる場所まで歩きました。アアはゴツゴツした溶岩なので、パホエホエに比べて迫力があります。 「これは転がってきたのかな」 アア溶岩のところどころに、大きな岩があります。 「噴石というやつかなあ」 「やるねえ、マウナ・ロア」 だけど、今は噴火しないでね。
静かに見えるマウナ・ロアですが、つい最近まで、大きな噴火を繰り返していました。マウナ・ロアは、実は今も、活火山なのです。1984年の噴火では、ヒロに向かって溶岩が流れ出していますが、幸いなことに、ヒロのかなり手前で溶岩の流れは止まりました。プウ・オオ・トレイルは、その時の溶岩で寸断されたため、ボルケーノまで歩くことは難しくなっています・・・ でも、もし歩けたとしても、かなり大変そうですね。 今ではキラウエアの方が火山として有名ですが、ハワイ島の航空写真などを見ると、マウナ・ロアから四方八方に流れた溶岩の跡を見ることができます。キラウエアに比べ、その規模は遥かに大きい。 そのマウナ・ロアは、前方にくっきりと見えていました。
道を探す
アア溶岩を抜けると、溶岩に浮かぶオアシスのようなキプカが見えてきました。このキプカは、どちらかというと林タイプでしょうか。
さて、この辺りから道は怪しくなってきました。国立公園などのトレイルは、整備が行き届き、道もはっきり分かります。舗装されているトレイルもあります。しかし、プウ・オオ・トレイルは、それほど整備されていません、だんだん道がはっきり分からなくなってきました。 トレイルの目印は、石を積み上げて作ったケルンや森の中の青いテープです。入口から2マイル付近までは、これらの目印を見なくても、トレイルを歩くことができたのですが、次第にテープやケルンを見つけないと、方向がはっきりしなくなってきました。 キプカの外は、ケルンが目印ですが、ケルンはパホエホエの黒い溶岩の上で、とても見つけ難い。パホエホエの上は歩きにくく、足元を注意していないと転びそうです。ケルンを探しつつ、足元も見なくては。2マイルを過ぎると、ケルンもちょっと年代物な感じです。
パホエホエの上には、草に混じって、プキアヴェやクカエネネが生えています。地面を這うように伸びている、クカエネネに足を取られ、あやうく転ぶところでした。カワイイ植物だと思っていたのに、クカエネネめ。
バードウォッチをしながら、トレイルを戻ってくる人に会いました。このトレイルで、初めて会う人です。 どうしようかなあ、私たちも、ここら辺で引き返そうかな。前日から胃腸の調子が悪かったこともあり、疲れが出てきました。でも、引き返すより、前に進んだ方が楽かも。4WD用とはいえ、 この先は車道だし。結局、進むことにしました。 「あれっ、テープがないよ」 ついに、キプカの入口を間違えてしまいました。キプカには獣道のような道もあり、間違いやすいのです。分からなくなったら、すぐに道を戻るのが鉄則。キプカを出てみると、ちょっと外れたところにケルンが立っていました。うーん、分かり難いよー。でも、歩くだけでも大変なこの道に、ケルンを作ったり、テープを巻いたりしてくれた人は、とてもエライ。本当にありがとう。
トレイルの入口に近いキプカは、外来植物もよく見られたのですが、トレイルを進むにつれて、キプカはどんどんピュアなハワイになってきたような気がします。歩くに従って、古代に戻っていく感じ。疲れているけれど、このキプカを見ることができて、歩いてきてよかったな。
さて、3.75マイル辺りのキプカを東に回りこんで、もとパワーライン・ロードを見つけなくてはいけません。本当は、もう1マイルほど歩けば、プウ・オオ・トレイルと 、もとパワーライン・ロードは交わるらしいのですが、あと1マイル、往復2マイルがキツイ。 このトレイルは、マイル表示がないので地図と地形を見比べての推測で、もとパワーライン・ロードを探します。トレイルを外れるのは、とても危ないのですが、幸いなことに、検討をつけた方向に、道路らしきものが見えていました。ああ、よかった。この後は自動車用の道路だから、歩くのもきっと楽だよ。
パワーライン・ロードは厳しかった
もとパワーライン・ロードの近くのキプカでは、アパパネがすぐ近くで鳴いていました。オヒアが多いこの辺りでは、ミツスイもたくさんいるのかもしれません。 「えっ、この道を本当に4WDで走るの?」 もとパワーライン・ロードは、かなり大きめの石が敷かれた砂利道でした。線路の敷石のような石が、凸凹もそのままに敷いてあるような感じです。ぐらぐら動く石の上を歩くのは、なかなか大変。パホエホエを歩く方が、むしろ歩きやすいかも。 しかも、道は単調で面白くない。真っ直ぐ、最短距離でサドル・ロードまで続いていることと、道標を探さなくていいのが、この道を歩く利点でしょうか。
「あ、ホネだっ!」
羊かヤギでしょうか、頭蓋骨が道端にディスプレイされていました。電柱が切り倒された跡など、なんだかちょっと陰惨な感じが否めません。気がつけば、天気もどんよりして今にも雨が降りそう。とにかく、もくもくと5kmの道のりを歩くしかありません。
もとパワーライン・ロードの入口は、門があって施錠してありました。まあ、入れたとしても、トラックとかじゃないと走行するのはムリかも。ここから、サドル・ロードを更に1kmほど歩かないと。
サドル・ロードは、どの車もスピードをあげて走っているので、歩くのはとても危険です。左側(対向車側)の舗装の外を歩きましたが、それでも「もっと外を歩け」と、わざわざスピードを落として注意してくれる車もいました。
「サドル・ロードを車で走った人はいても、歩いた人はあまりいないよね」 でもジマンもできないねえ。雨が降る直前に、車まで戻ってきました。時刻は2時。予定より2時間多い、6時間もかかってしまいました。プウ・オオ・トレイルは、第一印象はやさしげな雰囲気だけど、実はなかなか厳しいトレイルだったのでした。 でも、様々な溶岩を、一度に見ることができるのは、プウ・オオ・トレイルならでは。ペレの島、ハワイ島の自然を満喫できるトレイルです。
やっぱりプウ・オオ・トレイルが、好きなんだな
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